猫がトイレでしゃがまないと、飼い主としては「なぜ?」と不安になるものです。
この行動には、膀胱炎や尿路結石などの病気のサインが隠れている場合があります。
一方で、トイレの環境やストレスなど病気以外の原因で起こることも少なくありません。
本記事では、猫がトイレでしゃがまない理由を「病気」「行動・環境要因」の両面から詳しく解説します。
さらに、症状ごとの緊急度チェックや、自宅でできる改善方法も紹介し、飼い主が安心できる判断材料を提供します。
- 猫がトイレでしゃがまないときの主な原因
- 症状ごとの緊急度と病院受診の目安
- 自宅でできる改善策と予防方法
目次
猫がトイレでしゃがまないときに考えられる原因

猫がトイレでしゃがまない行動には、大きく分けて行動・環境による要因と、病気による要因があります。
どちらの要因も見逃すと症状が悪化したり、トイレ嫌いが定着する恐れがあるため、原因を正しく把握することが重要です。
ここでは、それぞれの原因を詳しく解説し、どのようなケースで発生しやすいのかを紹介します。
また、原因を把握することで自宅での対処法や病院受診の判断にも役立ちます。
まずは、行動や環境による要因から見ていきましょう。
行動や環境による原因
猫は環境の変化や生活習慣の乱れに敏感な動物です。
引っ越し・模様替え・新しいペットの導入など、日常環境の変化がストレスとなり、落ち着いてしゃがむ行動ができなくなることがあります。
また、トイレ自体が原因となる場合もあります。
たとえばトイレ砂の種類や粒の大きさ、トイレの形状や高さが猫の好みに合わない場合、トイレに入りはするもののしゃがまずに出てしまうことがあります。
多頭飼いの場合は他の猫のにおいがトイレに残っていることが嫌で、姿勢を取らないケースもあります。
こうした行動・環境要因は、トイレの改善やストレス軽減策によって比較的短期間で解消できる可能性があります。
病気による原因
一方で、猫がトイレでしゃがまない原因の中には深刻な病気が隠れていることもあります。
代表的なものとしては以下があります。
- 膀胱炎:排尿時の痛みでしゃがむ姿勢を避ける
- 尿路結石:尿道の詰まりによる排尿困難
- 尿閉:尿が全く出ない緊急事態
- 関節炎:しゃがむ姿勢が痛みで困難になる
特に尿閉は命に関わる危険があるため、数時間でも排尿が見られない場合は直ちに病院へ行く必要があります。
病気の場合は、症状が進行するほど治療が難しくなるため、早期発見・早期治療が重要です。
症状別!緊急度チェック

猫がトイレでしゃがまない行動は、その症状の出方によって緊急度が大きく異なります。
ここでは、症状の特徴と考えられる原因、そして受診までの目安時間を一覧表にまとめました。
この表を参考にすることで、自宅で様子を見るべきか、それとも直ちに動物病院へ行くべきかの判断がしやすくなります。
症状 | 考えられる原因 | 受診目安 |
何度もトイレに行くが排尿しない | 尿路結石・尿閉 | 今すぐ病院へ |
排尿時に鳴く・背中を丸める | 膀胱炎・尿道炎 | 数時間〜半日以内に受診 |
立ったまま短時間でトイレを出る | 関節炎・トイレ嫌い | 数日以内に受診または環境改善 |
排尿量が極端に少ない | 膀胱炎・脱水・腎不全 | 早めの受診を推奨 |
特に「尿が全く出ない」場合は命に関わる緊急事態です。
排尿が12時間以上確認できない場合は、時間帯を問わず動物病院へ連れて行きましょう。
一方で、環境要因やストレスが原因の場合は、トイレの改善や生活環境の見直しで改善が見込めます。
猫がトイレでしゃがまない時の対処法

猫がトイレでしゃがまない場合は、まず原因の見極めが重要です。
原因が環境やストレスにあるのか、それとも病気によるものなのかによって、対応方法は大きく異なります。
ここでは、自宅でできる環境改善から、病気の可能性がある場合の対応、そして動物病院での検査・治療について順に解説します。
自宅でできる環境改善
行動や環境が原因の場合は、次のような改善策を試してみましょう。
- トイレの数を増やす:多頭飼いの場合は猫の頭数+1個が目安
- 静かな場所に設置:騒音や人通りの多い場所を避ける
- 猫砂の種類を見直す:粒の大きさや材質を変えて好みに合うものを選ぶ
- 清潔を保つ:排尿・排便のたびに固まりを取り除き、においを防ぐ
こうした対策でストレスや違和感が減ると、猫が落ち着いてしゃがむ姿勢を取りやすくなります。
病気の可能性がある場合の対応
膀胱炎や尿路結石、尿閉などの病気が疑われる場合は、自己判断せず動物病院へ行くことが最優先です。
受診までの間は以下の点に注意しましょう。
- トイレの回数や排尿量を記録する
- 排尿時の姿勢や鳴き声を観察する
- 飲水量や食欲の変化もメモしておく
これらの情報は診断に役立ち、早期治療に繋がります。
病院で行う検査と治療例
動物病院では以下のような検査が行われます。
- 尿検査(尿比重、結晶、血尿の有無)
- 血液検査(腎機能、炎症反応の確認)
- X線やエコーによる尿路の確認
治療は原因によって異なりますが、膀胱炎なら抗生物質や消炎剤、尿路結石なら溶解用フードや外科的処置が行われることもあります。
特に尿閉は緊急手術が必要になる場合が多く、数時間の遅れが命に関わります。
予防のためにできること

猫がトイレでしゃがまない行動は、病気やストレスなどの原因を事前に取り除くことで予防できる場合があります。
ここでは、日常生活で飼い主ができる予防策を紹介します。
水分摂取の工夫
尿路結石や膀胱炎の予防には、十分な水分摂取が欠かせません。
- 自動給水器を使って新鮮な水を常に飲めるようにする
- ウェットフードを取り入れて食事からの水分量を増やす
- 水皿の位置を複数箇所に設置する
猫はもともと水をあまり飲まない動物のため、こうした工夫が健康維持に直結します。
適度な運動
運動不足は肥満や便秘だけでなく、泌尿器系のトラブルにもつながります。
- キャットタワーやおもちゃで遊び時間を確保する
- 1日2〜3回、短時間でも積極的に遊ぶ
運動によって代謝が上がり、尿の排出が促されます。
定期的な健康チェック
年1回以上の健康診断を受けることで、病気の早期発見が可能になります。
特にシニア猫や過去に泌尿器系の病気を経験した猫は、半年に1回の検診がおすすめです。
検査では尿検査や血液検査を行い、腎機能や膀胱の状態を確認します。
日頃からのケアと観察が、猫の健康寿命を延ばし、トイレの異常行動を防ぐ第一歩になります。
- 猫がトイレでしゃがまない原因は、環境要因と病気に大別できる
- 尿閉など命に関わる症状は数時間以内の受診が必要
- トイレ環境の見直しや水分摂取の工夫で予防が可能